東京工業大学 博士一環教育プログラム

サポート組織と体制
1.組織と体制
 博士一貫教育プログラムを円滑に実施するために、博士一貫教育事務室が設けられ、プログラムの企画立案及び実施に伴う調整等を行っています。 教育事務室の室長はプログラムの総括的責人者で教育推進室長の下で、プログラム実施に係る業務を統括しています。 現事務室長は理工学研究科機械物理工学専攻 齋藤 彬夫教授です。 事務室にはプログラム実施に係わる企画、立案及び海外大学、企業等との調整を行うコーディネーター(特任教授)と事務職員が常駐して、プログラム実施の支援に当たっています。 また、プログラムに関する重要事項を審議する博士一貫教育プログラム運営委員会が教育推進室に置かれています。 運営委員会の下に3つの専門委員会(コースカリキュラム、派遣プログラム、アドバイザー選考・運営)が置かれ、委員会はそれぞれ数名の大学院の教員によって構成され、プログラム実行案の作成にあたっています。
博士一貫教育プログラム実施要項18 5 19.pdf
運営組織.pdf

2.コース学生への支援
 3−4年で博士課程を修了することは25歳前後の博士を有する人材が社会に出ることを意味しています。年齢が若いことは就職の場を広げるとともに、その後の幅広いキャリアの展開につながり、日本の科学技術立国をリードすることとなります。 欧米の大学の博士課程修了者と我が国のそれとの大きな差は活躍の場の国際性にあります。 本プログラムの目指すところは、日本のみならず、国際的な機関や企業で活躍出来る人材の養成にあります。 人間力、専門力を兼ね備えた優秀なしかも若い博士課程修了者の増加は、嘗て、産業界が高度技術者としての人材を求めて、学部卒業者の採用から修士修了者の採用へ移行したごとく、修士修了者から博士修了者への採用の方針を転換する契機になり、我が国の科学技術分野を支える基盤の飛躍的な強化につながります。 本プログラムにより、高い技術力、研究推進力、問題発見力、企画力、幅広い関連分野の知識、その知識を生かす実践力、さらには国際競争力が備わった博士号を有する人材が養成されます。 これらの人材は、従来の博士課程修了者の進路であった教育研究者や高度技術者に加えて、起業家、知財専門家、科学技術コンサルタント、科学技術政策や産業政策部門の企画・実施担当、シンクタンクなどの広範な場で活躍するはずです。 このような社会環境こそ、科学技術創造立国の姿といえます。 人間力、専門力を備えた人材は、産業界においても遺憾なくその実力を発揮出来るため、博士課程卒業者が産業界に受け入れられないという現状が打破され、活躍する場が拡大します。 その結果、博士課程希望進学者が増え、優秀な学生が博士課程に入学することになり、大きな社会変革に繋がることになります。 このような貴重な人材を育成するために、出来るだけの支援を行うべく、派遣プログラムを中心に優秀な学生を多数選抜して、渡航旅費の補助、RAへの採用による研究生活支援等を積極的かつきめ細かに実施しています。

3.国内外との交流
 博士一貫教育プログラムでは、海外大学の指導的な教授や産業界の研究開発担当者・技術開発企画のリーダーに参加してもらい、最先端の教育研究体制を実現させます。 産業界との連携や国際連携などを計画し、実行するためにアドバイザー選考・運営専門委員会が中心となって活動し、海外アドバイザリーボード、企業アドバイザリーボードを設置して随時個々の学生に最もふさわしいカリキュラムを計画指導し、効果的な学習、研究を可能とし、短期に成果を上げられるような環境整備を行います。 また、随時シンポジュウムや特別講義を企画し、コース学生とボードメンバー等との交流の機会を作っていきます。
 平成18年4月1日の大学院博士一貫教育プログラム実施に先立ち、平成18年3月に、二つの会議を博士一貫教育プログラム準備委員会の主催で開催し、国内外からそれぞれ専門の方々をお招きして大学院教育の現状と将来についての幅広い意見交換を行いました。 それらの会議模様をご紹介しておきます。 “大学院教育特別講演会”は平成18年3月2日、東京工業大学百年記念館フェライト会議室で行われました。 特別講演者としてUCLA(ロサンゼルス校)の伊藤龍男教授からアメリカの大学院教育の現状や今後の大学院教育の展開についての御講演を戴きました。 さらに、国内企業を代表して、三菱重工の伊藤俊明特別顧問、KDDI研究所秋葉重幸所長、JFEスチールのスチール研究所小松原道郎副所長の三氏から企業側の立場からみた大学院教育のあり方と今後によせる期待などについて話題提示をして戴き出席者との活発な討論を経て今後の教育のあり方特に博士一貫教育プログラム実施へ向けて有意義なご意見を多数戴きました。 平成18年3月6日には“大学院教育に関する国際シンポジュウム(International Symposium on Graduate Education)が東京工業大学本館第一会議室で開催されました。 この会議では、スタンフォード大学のHanson教授が”スタンフォード大学における大学院教育(Education at Stanford University)“ MITのDubowsky教授が“MITにおける大学院工学教育 (Graduate Engineering Education at MIT)”について講演を行いアメリカの有力大学での大学院教育の詳細な取組方が示されました。 引き続いてインペリアル・カレッジのRitter教授が“インペリアル・カレッジ・ロンドンにおける経験を通して見た英国の大学院教育 (Graduate Education in the UK, illustrated fromexperience at Imperial College London)”と題する講演で大学院教育システム及び教育と社会との接点をも含めてイギリスでの大学院教育についてお話を戴きました。 その後、博士一貫教育プログラム準備委員会の委員を含めて活発な討論が行われ、プログラム実施へ向けての貴重な指針を得ることができました。(会議資料はNews Letters から閲覧出来ます。) これら二つの会議はプログラム実施直前に開かれましたが、今後は、コース学生の参加を主としたかたちでこのような会議を企画し、様々なテーマについて議論する場を提供していくことを考えています




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